うるし・父

目瀬の周りには至る所に「漆」があります。よく「かぶれる」と言いますが、私達の身内でそのような体質の人はいません。

この漆で父から聞いた話です。父は岐阜長森の68連隊・支那事変・満州警護・蘇州川上陸・負傷して・広島陸軍病院・関東陸軍病院・大曾根造兵省・春日井王子製紙造兵省・終戦。と渡ってきた人間で82歳まで生きました。68連隊では少年兵だった頃の話。上官から普段から大変厳しい教育を受けていました。あまりにも理不尽な教育だった時、銃剣の柄に漆を塗って乾かす「漆室」という部屋があったそうで、その中に逃げ隠れていたそうです。漆を塗った後、蒸気で乾かす部屋で、上官の殆どは「かぶれる体質」なので絶対捕まらなかったそうです。